(お母さま、お父さまへのお願い)
はじめに
矯正治療は、受ける人によって結果が異なります。
費用、期間が同じ場合でも、予想以上にきれいな歯並びになる人も、また、思ったほどきれいに歯が並ばない、噛み合わせが良くない、という人も、その人によって結果は違ってきます。
それは何故なのか?
どうしたら良い結果が出るのか?
それについて詳しく考えていきたいと思います。
1.矯正治療に影響する要因
これが第一です。
なぜならば、お子さんの“きれいな歯並びになりたい!”という気持ちが、“食事をよく噛むこと”“機能トレーニングに取り組む姿勢”につながってくるからです。
ご両親からの遺伝的要素よりも、現在の生活習慣のほうが歯並びに影響を与えます。
したがって、“お子さんのやる気を出させる”ために、歯並びやお顔についての話を日ごろからご家族の間でよくされることをおすすめします。
これも重要です。
良い結果が出ているお子さまは、ご両親の言うこと、大人の言うことに対して聞く耳を持ってくれます。
これは、ご両親の日々のお子さまに対する接し方によって差がでてくると思います。
たとえば、何かをお子さまに頼む時など、ちゃんと理由を説明してやってもらう、お子さまが理解してやるようにする、というプロセスが大事ではないでしょうか?
その繰り返しが親と子の信頼関係になると思います。
よく、親が子供に何かをやらせるとき、
子供の「嫌か嫌でないか」ということを基準にされている親御さんがいらっしゃいますが、子どもにはまだ、正しい判断能力が無いので、しっかりと理由を説明し、やってもらうようにすると良いのではないでしょうか?
近年、食材は、コンビニ、スーパーマーケットなどにより、より加工、調理されたものが多くなり、さらに、お母さんたちも仕事に従事し、食事の準備の時間が取れなくなり、子どもたちにとって、手作りの時間をかけた食事が少なくなってきています。
その結果、やわらかい食材が多くなり、“噛むこと”が少なくなっています。
忙しい毎日の中で、食事の時間をしっかりと取り、ゆっくりよく噛んで食事をさせる、食材は軟らかいものだけにしない、お子さんが食べやすく小さく切らない、などの試みをしていくのです。
矯正治療を始めることをきっかけに、食生活も変えていくことが矯正治療の良い結果とともに、お子様の健康、健全な成長発育を引き出します。
お子さんたちは日々、習い事、スポーツなど、忙しいです。
そこで、お母さま、お父さま、おじいちゃん、おばあちゃんなど、みんなで、お子さんの矯正治療を応援してください。
1日1回は、矯正装置がちゃんとはまっているか、確認が必要です。
機能トレーニングもお子さんがやるときは見守ってあげてください。
トレーニングは簡単ですが、単調なのでお母さま、お父さまが一緒にいてあげて、日常の生活習慣の中に自然にとりこんでいくことが、長く続ける秘訣です。
ご兄弟も、食生活をともに変えて、よく噛んで、甘いものを多く摂り過ぎないように協力してもらいます。
子どもの矯正治療は、お母さま、お父さまのクリニックでの協力度によってその進行度、結果は大きく変わってきます。
お子さんの日々の様子(装置の取り外し方、舌でもてあそんでいないか等)を教えていただけますと助かります。
また、小学校高学年のお子さまでは、背の伸び具合も教えてください。
また、治療時に乳歯がグラグラになっている場合、そのまま放置すると、矯正治療が長引くだけでなく、永久歯の萌出方向も変わってしまい、矯正治療に支障がでることもあります。
グラグラの乳歯は“抜く”と言っても、歯の根は溶けてなくなっているので、ちょっとつまめばすぐに取れます。
ですから、お母さま、お父さまからも、その必要性と痛みは殆ど無いことをお子さまにお伝えしていただけますと、たいへん助かります。
2.お子さまのやる気を育むには
まず、普段からお子さまの口の中、歯の様子をよく見てチェックすることです。
そして、永久歯の生え方を観察し、お子さまと共有することです。
さらに、お母さま、お父さまが歯並びで苦労された場合、(例えば、悪い歯並びで困ったこと、矯正治療をされた場合、その大変さ、など)をよーくお子さんに話して聞かせることです。
また、矯正治療開始後は、お子さまの歯の変化をよく見て、動いていれば、「頑張っているね、エライよ!」などと労って、歯並びが良くなってきていれば、「良かったね、きれいだよ」などと褒めてあげてください。
最近の小学生は、自然にきれいに歯が並ぶお子さんは少ないです。
「永久歯を抜かずに、良い歯並びをつくることはすごいことなんだよ、良かったね」と言ってあげてください。
3.乳歯の抜歯についてのお願い
乳歯(子どもの歯)は、本来自然に抜けて、永久歯に生えかわります。
歯ぐきの中に潜っている永久歯が少しずつ生えてくると、乳歯の根が溶けて乳歯がグラグラになります。
矯正治療中は取り外し式の矯正装置を入れなくてはならないので、グラグラの乳歯があると、装置が入りにくくなったり、永久歯が生えてくる位置や角度が変わってしまうことがあります。
そこで、乳歯を抜かなくてはならないのですが、
“歯を抜く!”と言われると、子どもは(大人もですが)嫌がります。
ただし、一般的な“歯を抜く”という状況ではなく、グラグラになって、歯ぐきにくっついているだけの乳歯を“つまんでとる”という感じです。
痛みもほとんどなく、麻酔も注射でする麻酔ではなく、表面麻酔といってゼリー状の麻酔薬を歯の周りに塗るだけです。
そこで、以下、クリニックからのお願いがあります。
- “乳歯を抜く”、という表現ではなく、“そおっと取ってくれるよ”というように子どもにいってあげてください。
- 乳歯を抜くかどうかは、子どもに判断させずに、お母さま、お父さまからの“○○ちゃんが早く良い歯並びになるためのお願い”として言ってあげてください。
- 乳歯をお子さんが頑張って抜かせてくれたら、“偉いよ、よく頑張った!”と褒めてあげてください。
そこで、絶対に“痛かった?”と聞かないでください。
痛くなかったか?と聞かれると、子どもでなくても、“痛い!”と感じます。
そこで我々医療従事者は、患者さんのために行っている治療が
何か、痛いことをおとなの都合でやっている!
歯科クリニックで痛い思いをさせられた!
というマイナスイメージをお子さまに植え付けてしまいます。
よろしくお願いいたします
まとめ
矯正治療を成功させるためには、以下の要件が重要です。
- お子さまのやる気
- お子さまの性格
- 食生活
- ご家族の協力
- ご両親の理解と協力
実際に矯正治療を行なってみると、そのお子さまの歯の状況、遺伝的要素、年齢よりも、①から⑤までの状況のほうが、治療の成否に関わっていると感じます。
矯正治療中、お父さま、お母さまは分からないことがあれば何でも聞いてください。
わたしたち、近藤歯科クリニックのスタッフ一同、全力でお子さまの歯並び改善、お口の機能向上、お口の健康をめざし頑張りますので、よろしくお願いいたします。