受け口(反対咬合)とは?
通常、上下の歯をかみ合わせたとき、上の前歯が下の前歯の上に(前に)くるのですが、下の歯のほうが前に出てしまっているのを“受け口(反対咬合)”といいます。
この受け口は、子どもの場合、放置しておきますと、そのうち下あごがどんどん前下方へ伸びてきます。
矯正治療では難しい方に分類されます。
受け口の原因
受け口の原因としましては、まず第一に舌の位置異常が挙げられます。
通常舌は上あごの口蓋(こうがい=上あごのくぼんだところ)にくっつくのですが、受け口の人はあまりくっつけにくいのです。
さらに、飲み物、食べ物を飲み込む時、呼吸をしているとき、ただぼけーっとしているとき、なども無意識に舌が口蓋にくっついていなくてはなりません。
受け口の人は、いつも舌が下に落ちていて、飲み込んだり、発音したりする機能時に前方に出て、その結果下あごが前方に出てしまうのです。
この“舌が口蓋に着かないで前に出る”原因として、赤ちゃんのときの授乳の仕方に問題があったと考えられます。
さらに慢性的な鼻づまりによる口呼吸も原因ではないか、といわれています。
あとは、遺伝的原因。
ご両親のどちらかが反対咬合の場合、お子さんにほとんどの場合受け継がれます。
受け口への対処法
できるだけ早期に対応する、これが一番重要です。
お子さんの乳歯列が完成するのは3歳です。
この時期に受け口であったならば、即対応です。
歯科健診や、歯科医院に連れていくと、“受け口はまだ様子をみましょう”
などと言われてしまうことがあります。
矯正医以外の一般歯科の歯科医師は、子どもの歯並び、かみ合わせの事にそれほど詳しくないので、その時の対処法を知りません。
また、矯正をやっている歯科医師でも、考え方に差があり、答えは人によって違うでしょう。
たとえば、3歳児の受け口の子の対処法として、キーワードは“奥歯でかむ”、“一口量”、“ぶくぶくうがい”、“寝相”、“性格”などがあります。
4歳児でしたら、“パナシールド(受け口用のマウスピース)”、“食べ物をよくかむ”、“ポッピング”“お顔の写真”などがキーワードです。
5,6歳児でしたら、上の前歯の生え変わりで“アイスクリームの棒”、“前方移動装置”などがキーワードです。
早期対応のメリット
- 乳歯列前期(3~4歳)・・・生活習慣、食事をよくかむことで治ることがあります。
- 乳歯列後期(4~5歳)・・・パナシールドを夜間はめるだけで治る人もいます。
- 小学校入学前後(6歳)・・・アイスの棒で前歯のかみ合わせを治せます。
- 小学校低学年(6~9歳)・・簡単な矯正装置(床矯正、マウスピース)で治せ、顔貌が長く変化しないですみます。
- 小学校高学年(10歳~)・・顔貌も縦長に変化してきてしまう。
受け口とインビザライン
矯正装置を入れると舌が口蓋につけにくくなる、という状況から、受け口の対応は、歯に固定するマルチブラケット装置しかないが、それも長期間つけているとむし歯の発生、進行がある可能性があり、筋機能トレーニング中心で装置装着に積極的になれませんでした。
しかし、インビザライン(マウスピース矯正)の場合、舌を口蓋につけることを妨げないばかりでなく、歯列の拡大も楽に行えるので患者さんの受診早期にご提案、おすすめできます。
実際にインビザライン装着後、短期間で歯並び、顔貌に良い結果がでているお子さんも何人かいらっしゃいます。
インビザラインは今後の受け口の矯正治療により良い結果を出してくれると大いに期待しております。