従来、矯正治療は“歯を動かすこと”を第一にしていて、よく、かめるかどうか(咀嚼機能)や飲み込める(嚥下機能)、しゃべりやすさ(発音)などの機能はあまり重視していませんでした。
その結果、
- “矯正治療をしたのに、よくかめない”
- “矯正治療後に歯並びが戻ってしまった(後戻り現象)”
- “歯が弱くなった、長持ちしない”
などの困った事が起きていました。
何故でしょうか?
ここで大事なのは、「その人の歯並びは、その人のかみ方、生活習慣、食生活などによってつくられたもの」ということです。
生まれつき、永久歯が生えている人はいませんね?
赤ちゃんで離乳食をためる頃に、まず乳歯(子どもの歯)が生えてきて、それから幼児期を経て、学童期になって、今の永久歯(大人の歯)に生え替わってくるのです。
ですから、幼児期、学童期のその人の今の生活習慣、食生活、食べ物のかみ方、呼吸法などによって歯並びは作られるのです。
たしかに、遺伝的傾向もありますが、実際に遺伝的傾向が強く出てくるのは小学校高学年以降です。
したがって、歯並びを治す際には、その人の“かみ方、生活習慣、食生活など、変えることが出来ることは、変えていく必要があります。
当クリニックでは、以下口腔機能向上に向けて取り組んでいます。
- かみ方指導(冊子、説明、チューブ咬みなど)
- 舌のトレーニング(ポッピング、あげろうくん、パナシールドなど)
- OMT(呼吸法、姿勢、発音を含めた舌のトレーニング、飲み込み)
- 母親教室(歯並びの良い子どもにするには?など)
- 妊婦教室(赤ちゃんの口腔機能を向上させる授乳、離乳食の与え方)
- 子ども教室(かわいいお顔になる!ためには?など)
- ユーチューブを使った指導(ポッピング、しょうきょうせいを始めよう)
- 歯並び相談
このように、患者さんの主訴、年齢、性別、性格、症状、状態、考え方、時間、費用によって、それぞれの方に合ったことを提案させていただきます。
矯正治療中から“よくかむ”ことによって、歯の移動も早くなり、矯正期間が短くなるだけでなく、矯正治療後の後戻りもだいぶ抑えることができ、さらに何より大事なのは、よくかめる歯並びになることです。
お子さんの場合、できる限り早期によいかみ方に変えていくことにより、良い成長発育を引き出し、矯正治療によって歯を動かす量も少なく出来るのです。
さらに、良い習慣は健康にもつながります。