子どもの矯正治療とは?
成長発育をしている年齢のお子さまの矯正治療のことです。
矯正治療の開始時期が男の子の場合、個人差はありますが、15歳くらいまで、女の子の場合、13歳くらいまでです。
それ以上の年齢でも背は伸びますが、わずかであり、あごや口腔周囲の骨格はほとんど変化はしないと考えられます。
子どもの矯正治療と大人の矯正治療の違い
大人の場合は、骨格も決まっていて、成長発育も無いため、現状のあごの骨の状況に合わせた矯正治療となります。
したがって理想を高くして、より完璧な歯並びを目指そうとすると、無理があり、治療後の後戻りや、よくかめなくなったなどの弊害が出ることもあります。
また、大人の場合、永久歯を抜いて矯正治療を進める、という考えもありますが、歯を抜くデメリットを考えて、当クリニックではおすすめしていません。
一方、子どもの場合は成長発育するので、可能性が広がります。
そして成長発育の方向性も早期(小学校低学年まで)に、矯正治療、機能トレーニング、生活習慣の改善などに取り組まれますと、より効果が大きくなります。
従来の矯正治療の考え方は、遺伝的要素が強く、環境的要素はあまり重視されず、そのため、子どもの矯正治療も、ある程度大きくなってから取り組む(小学校高学年以上)という考え方でした。
それは、“成長発育”には個人差があるため予測しにくく、歯科医師側が治療結果について、確かなことを患者さんに説明しにくいと困るので、より確かな予測ができる時期(小学校高学年以降)に矯正治療を始めていました。
近年は遺伝的要素よりも環境の大きな変化により、環境的要素のほうが歯並び、かみ合わせに影響を強く及ぼしてきています。
ですから、“予測の確かさ(歯科医師側の立場)”よりも、“お子さんの健全な成長発育の可能性(患者さんの立場)”を当クリニックでは重視し、子どもの矯正治療をなるべく早期に始める考え方でやっています。
以下、子どもの矯正を早期に始めるメリットを挙げてみました。
子どもの矯正、早期治療(機能トレーニングを含む)のメリット
- 歯並びの重なりが軽度(小学校1,2年)の状況のほうが修正しやすい
- 前歯の方が臼歯(大臼歯、小臼歯)より移動しやすい
- 歯並びの問題の方がかみ合わせの問題より解決しやすい
- 小学校高学年以降では歯並びの問題がかみ合わせの問題、さらにお顔の問題に進みやすい
- 生活習慣、食生活の改善は幼児期からのほうが変えやすい
- 歯の生える前にスペースをつくるほうがきれいに歯が生えてくる(生えてしまった歯の回転、傾斜を修正する方が難しい)
- 受け口、出っ歯の場合、乳歯列期(6歳まで)に治療を始めれば、効果が大きい(小学校高学年以降では、骨格性の問題になり、修正は困難)
- 矯正治療をしなくても、生活習慣改善と機能トレーニングで歯がきれいに並ぶ可能性も出てくる
- 矯正治療を行なう場合でも、早期の開始の方が費用も安くなる
ざっと挙げただけでも以上のようになります。
軽度の歯の重なりでも放置すると、
⇒重度の歯の重なり
⇒かみ合わせも悪くなる(不正咬合)
⇒骨格的の問題(お顔の問題に移行)
といった問題が起こりやすくなります。
疾病は早期対応、早期治療が基本です。
さらに、小学校高学年になると習い事や塾通いで、時間とお子さまの余裕もなくなり、さらにお子さまの反抗期も始まる場合もあり矯正治療を始めることが難しくなります。
中学生では、勉強も難しくなり、クラブ活動優先、さらに成長発育も少なくなって矯正治療の効果も出にくくなっていきます。
当クリニックの子どもの矯正治療
年齢別にまとめてみました。
1 妊婦歯科健診(胎児期)
まだ生まれていませんが、この時期から来院されることがとても大事です。
なぜならば、お子さんの口腔機能、舌や唇の運動は授乳期が最も影響を受ける時期だからです。
授乳の方法、哺乳瓶の選択法、卒乳の時期、離乳食のあげ方などがポイントです。
妊婦健診や、妊婦教室では聞けない、お子さまの口腔機能の発達、歯並び、かみ合わせ育成を目的とした話を専属の管理栄養士がいたします。
2 幼児期前期(1~2歳)
口腔機能の発達、あごの育成、歯並び、かみ合わせの話、むし歯の有無のチェック、歯みがきについて、指しゃぶりについての対応などお話しいたします。
3 幼児期中期(3~4歳)
口腔機能の発達、習癖について、あごの育成、かみ合わせの治療(マウスピースによる)、歯並びを良くする習慣などについてお話しいたします。
お子さまのご理解が得られれば、この時期からパナシールドを使用していただきます。
4 幼児期後期
かみ合わせチェック、歯並びについての説明、口腔機能チェック、パナシールドの使用、前歯の生え変わりと上下の関係チェックなど、お子さまに合ったメニューで対応いたします。
受け口、出っ歯のお子さまはこの時期からの対応がベストです。
様子を見ているだけではいけません。
5 小学校低学年(1~2年生)
・歯並び相談⇒この時期になれば、ほぼ将来的なかたちは予測できます。
とくに受け口、出っ歯のお子さんは早めの来院をおすすめします。
時期が遅くなればなるほど、骨格性に移行し、重症化します。
将来的にも、この時期を逃してしまうと、矯正治療を行なったとしても、思ったほどには治りません。
・かみ合わせチェック⇒この時期であれば、比較的修正は楽です。
とくに前歯の交叉咬合(上下の前歯が反対にかみ合ってしまった状態)は早期であれば、平べったい棒のようなもの(アイスクリームの棒みたいな木の棒)で、“てこの原理”で押し出せば修正できます。
・口腔機能のチェック⇒バイオセラピー、MFT、OMTなど行います。
永久歯の診査も、この時期に口全体のレントゲンを撮りますので、それにより、
- 今後矯正治療が必要か?
- 永久歯の数はちゃんとあるのか?
- 永久歯の歯胚(潜っているこれから出てくる歯の卵のようなもの)の位置が悪くないか?
など診査できます。
・パナシールドの使用(舌の位置を修正する)
・矯正治療の開始(床矯正、インビザライン)
*舌の状況により、軽度⇒床矯正、重度⇒インビザライン
6 小学校3~4年生
・矯正治療の開始(床矯正、インビザライン)
*舌の状況により、軽度⇒床矯正、重度⇒インビザライン
ただし、小学校低学年(1~2年)の開始する矯正治療よりも、歯の重なりやかみ合わせが複雑化(前歯から奥歯へ)、さらには犬歯が生えてきていますと、矯正治療の手間、時間、費用がかかります。
・バイオセラピー、MFT、OMT
7 小学校高学年(5~6年生)
・早急の矯正治療の開始(どちらかというと床矯正よりインビザラインがおすすめ)
・バイオセラピー、MFT、OMT
この時期になると、ほぼ、大人の矯正治療に近くなってきています。
ただし、それでも大人よりはずっと歯が動きやすく、あごの成長も少しは期待できます。
少しでも早く矯正治療を始めることです。
お子さまの場合(とくに男の子は)上あごの犬歯が生える場所が無くて横にバーン!と生えてきて(いわゆる“八重歯”の状態)、はじめて“歯並びが気になる!”というケースも多いので、時期的には遅くても、ご本人のやる気さえあれば、マウスピース矯正(インビザライン)で修正できます。
8 中学生、高校生
矯正治療は大人と同様(軽度は床矯正、重度はインビザライン)ですが、まだ10代は大人に比べて歯の動くスピードが速いので、その分期間が短く済みます。
9 大学生
10代後半になると、親知らずが成長してきますので、(実際に生えることは少ないが、歯ぐきの中で潜っている状態で歯を押して歯並びを悪くする)レントゲンで状況を確認して、抜いてから矯正治療を始めることが多いです
まとめ
このように、近藤歯科クリニックでは生まれる前からお子さまの歯並びに関して対応しております。
矯正以外の歯科医院や、歯科健診などで“まだ様子をみましょう”などと言われることが多いですが、早めの受診を是非、おすすめします。
そして矯正専門医でも、歯を抜く矯正治療の考えでは、子どもの成長発育について重視しませんので、受診も小学校高学年以降で、という矯正医もいます。
近藤クリニックでは、あくまでも
“歯を抜かない矯正治療”
“お子さまの健全な成長発育を引き出す矯正治療”
を目指していますので、早めにご来院ください。
さらに、近年はお子さまの口腔機能の低下、歯並び、かみ合わせ状態の悪化がいわれていますので、保護者の方におかれましては、手遅れ、重症化させないよう、注意をお願いいたします。