矯正治療は、通常、前歯と奥歯の歯列全体で行います。
部分矯正は一部の歯だけ動かす矯正治療ですが、歯並びは連続して維持されているのと、反対のあごの歯とのかみ合わせも関係しているので、部分的に歯を動かすことは困難でした。
部分矯正の方が、一見簡単そうで難しい理由はこのためです。
大人の矯正は部分矯正がおすすめです
可能かどうかは別として、大人の矯正治療では、部分矯正が全体矯正よりもおすすめです。
理由を以下に挙げてみました。
- 治療期間が短くてすむ
- 後戻りが少ない
- 今までと同じように食べ物をかめる
- 歯の持ちが悪くならない
歯並びは“今までの生活習慣やかみ方の結果”ですから、それを大幅に変えるということは、かみ方や生活習慣もガラリと変えなくてはなりません。
そして大人の場合は子どもと違い、成長発育もしませんし、骨格も決まってしまっています。
ですから、歯並び、かみ合わせを大幅に変えるというのは無理があります。
たとえ、“完璧な歯並び”を目指したとしても、矯正装置を外せば、歯は動いてしまいます。
そして、歯並びとかみ方が合っていなければ、よくかめませんし、歯の持ちも悪くなります。
その点、歯を部分的に動かす部分矯正は歯並びとかみ方が合わない、後戻りなどのリスクが少なくなるといえるでしょう。
部分矯正の可能な矯正法
それでは、部分矯正が可能な矯正法はあるのでしょうか?
あります!
マウスピース矯正(インビザライン)です。
この矯正法はマウスピースを取り換えながら歯を動かしていく方法で、
治療計画時、コンピューターのソフトで歯の動く位置を決定し、それによってマウスピースも製作するのです。
この時、“動かしたい歯と動かしたくない歯”を指定でき、それをもとに治療計画(歯の動き)が立てられます。
従来のマルチブラケット装置では、全部の歯が固定されており、歯を移動させるときには、他の歯をアンカーにして動かしていたので、必ず作用反作用でアンカーの歯もいくらかは動いていました。
また、歯を動かすとき従来は1本ずつでしたが、多数の歯を同時に動かすことも出来るため、治療期間も短く(従来の半分以下)なり、画期的な矯正装置といえます。